日台製造業に関連する多くのご相談の一つが海外販路開拓についてです。
どのように海外における代理店、顧客発掘、ビジネスパートナーの見つけ方など。ご相談頂く企業様により背景の違いは多少ありますが、売上アップの為に海外にその活路を見出したいというお客様からのご相談が多くあります。
日本企業でも大手企業をはじめ積極的に海外マーケットに進出していますが、中小企業にとっては人材や費用など超えられない壁が多く存在します。
一方で、台湾企業の殆どが従業員200名以下であり、私が工場見学する企業は、規模の数十名規模が多いのですがその企業の海外販売比率は日本と比べると非常に多いと感じるのが正直な感想です。
ちなみに台湾の製造業における中小企業の定義は、年間売上額が NTD80百万未満、あるいは従業員が200人未満の企業となっていて、これは全体の約95%以上を占める割合となっているそうなので、日本と同様中小企業がほぼ占めていると言っても過言ではないと思います。(出所:台湾経済部中小企業処レポート)
では、その違いは一体どこにあるのでしょうか。
台湾企業を取り巻く環境と、多くの台湾企業が行っている販路開拓方法をご紹介します。
日本と台湾における製造業の決定的な違い
台湾は日本とサイズこそ違いますが、資源が乏しいため外貨を稼ぐために輸出に力を入れてきた背景があります。
しかし、よく見てみれば日本人口は約1億2000万人(これから減少していく予想ではありますが)です。台湾は約2300万人です。
単純に言えば、日本は国内需要市場だけでも台湾の約6倍のマーケットがあります。そして戦後荒廃した土地で先人達の血の滲む努力によって飛躍的に経済発展してきた日本製品はMade in Japanというブランドとなり、今もその恩恵を受けているといえるでしょう。
一方で日本と同様戦後荒れた経済の中で飛躍的に成長してきた台湾は、内需市場が圧倒的に少なく必然的に海外に出て行かざるを得なかったという側面があります。
前述の台湾の経済部中小企業処のレポートにもありますが、2014年~2016年の台湾における海外輸出比率は製造業では約85%となっています。
特にものづくりの要となる製造設備は、購入後数年~数十年と使用されるものであり一度行き渡ってしまえば、次のオーダーは随分と先になってしまうのです。
そうした背景もあり、台湾の企業たちは積極的に海外にその販路を求めてきたのです。
海外の展示会に月に一度は出展する!?
私の知人の台湾企業の多くが、ほぼ毎日の用に世界各地で行われている展示会に出展しています。インドネシア、メキシコ、インド、ドイツ、イタリア、サウジアラビアなど本当に世界各地で開催されている展示会に出展しています。
特に機械産業に関わる台湾企業は、大きな機械でも船や飛行機などを利用して機械を展示会場に持ち込み、可能であればその場で販売さえ可能としています。
もちろん、展示会に参加するには出展費用だけでなく、渡航費、宿泊費など必要になってきますが、それよりも効率を考えれば、興味のある企業の多くが集まる展示会はそれ以上に魅力的だと考えています。
展示会には現地代理店やパートナー企業の支援をもらいながら営業と技術者で参加し、展示ブース内ではかなり真剣な商談が行われることも多いです。展示会とは書きますが、カタログや製品をみてもらうだけではなく、台湾企業にとっては商談の場という考え方が強いとおもいます。
優秀な女性営業の活躍が成功の鍵
台湾企業と商談やミーティングとなるとよく女性の方が対応されることが多いのが日本の製造業と少し違う印象があります。日本でももちろん女性の方が製造業企業の営業を担っているところもありますが、その比率が圧倒的に違うような印象を受けます。
そして、前述のように海外売上が高い台湾企業ですので、商談や展示会は当然海外で行われる事が多くなります。私の友人の女性営業マンも小さな子供を持ちながら、世界各地の展示会や商談へ海外出張へ行っています。
共働きが一般的で、行政や社会が女性の活躍を当たり前に支援しているからこそ成立しているのだと感じました。
もちろん、海外に出ていくわけですから語学も当然必要になりますし、また常に先進国に行くわけではなく中東やインドなど女性にとっては危険な地域にも行くこともあります。
ただ、これから労働人口が加速度的に減少する日本において、優秀な女性はまだまだ活躍できる場が十分ではないとよく言われていますが、海外販路開拓を行う上で語学の課題が出てくることが多いのですが、意外と身近な人が素晴らしい能力を持っているかもしれません。
中国語を話せる台湾人は日本人よりもマーケットが広い
このデータをみても圧倒的に中国語を母国語として話せる人はこの地球上に沢山います。
もちろん中国の人口が多いというのも理由の一つですが、忘れてならない重要な事は特に東南アジアなどの華人ネットワークです。英語が公用語の一つとなっているシンガポールに滞在してもわかりますが、街の到るところで中国が通じます。
もちろん中国と英語を話す事ができれば仕事上では殆どが問題ないでしょう。日本人でも語学が堪能な方は沢山いらっしゃいますが、台湾人にとっては母国語で中国や東南アジア、そして華僑系の企業とも語学の壁が無くコミュニケーションを取れるという日本人とは決定的な違いもあります。
今回は海外販路開拓目指す企業様に台湾企業の海外販路の考え方を少しご紹介しました。
UME Internationalでは台湾企業とのビジネス構築、製造委託先などのサポートを行っています。
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