日本と台湾企業とのマッチングで一番苦労することは何だと思いますか?
弊社では主に製造業に関わっていますが、マッチングだけでなく展示会に対する考え方の日本企業との相違点を実際の具体例と共にご紹介したいと思います。
展示会出展は単なる商品”展示”の場ではなく、”商談”の場である
日本でも毎月各地で様々な展示会が大小開催されますが、台湾でも同様に様々な展示会が開催されています。
私の知人の台湾企業(K社)の社長は、ほぼ毎月展示会に出展しています。
しかも台湾内で開催される展示会はもちろんですが、海外で開催される展示会が90%以上です。
中国はもちろんですが、南米や東南アジア、インド、パキスタン、中東、ヨーロッパなど世界中に飛び回っています。
T社の製品はフィルム製造機械です。高さは数十メートルにも及ぶ巨大な機械を船で毎月移動させては出展しているのです。
装置自体の価格も数百万〜数千万の商品を世界各地の展示会に持っていって営業活動をしているのです。もちろん費用も莫大に必要です。
なので、T社にとって展示会は商品展示の場でもありますが、T社は常に展示会はビジネス商談をする場として捉えていて、展示会で自社の装置をその場で販売し、手付金まで獲得して来ることもかなりの頻度であるそうです。
当然、巨大な装置を輸送し、説明員や現地での滞在費用なども含めるとかなりのコストが発生しますので、展示会で商談をクロージングまで持ち込めると出展した価値が全く違います。
一方日本企業では業界にもよるかとは思いますが、展示会はあくまで”商品”展示会の性格を強く、その場で受注をするということはあまり無いように感じます。
台湾やアジアの展示会を見学すると、展示品に”SOLD OUT”のビラ、つまり即売完了というビラが貼られている商品も見るぐらいです。
国際的な展示会ともなると、世界中のバイヤーが一同に集まります。彼らにとっても展示会は一度の出張で複数の商品を見ることができる良い機会であり、その場で決めて購入したいというバイヤーも一定の割合で入ることも事実です。
再度詳細打ち合わせをしましょうというのが日本企業での対応が一般的ですが、地球の反対側から来たバイヤーにとっては重要な事だけはセラーと直接会って購入決断までしておきたいのです。
営業は女性が担う事が多い台湾企業
台湾企業の展示ブースを見学すると大抵の企業で女性スタッフが説明員として存在します。
もちろん、男性の営業員も多くいるのですが、日本で開催される日本企業の製造業関連の展示会は圧倒的に男性スタッフが多く、女性は集客のためのチラシや粗品を配る派遣スタッフだったり、受付にスタッフとして存在することがよくある光景です。
一方、台湾企業では海外セールスチームをはじめ、営業チームは殆どが女性という企業にも遭遇することがあります。そういった企業では男性は技術側のスタッフとして参加しているケースが多いのです。
女性自らが機械設備の説明を詳しく行い、大抵の技術的な説明に対しても流暢に回答してくれます。しかも彼らは海外企業相手も日々行っていますので英語も堪能です。
そういった意味では、この製造業における女性の進出は台湾の方が進んでいるといつも関心しています。
海外展示会では同業他社との交流も活発に行う
台湾企業のブースで営業サポートを行っていると、同じ台湾の同業他社いわゆる競合企業との交流も積極的に行っている事が多いです。
仕事柄日本企業の展示会でのサポートも行っていますが、台湾企業同士で積極的に情報交換を行っています。
海外で行われる展示会開催地の市場情報などは勿論ですが、ビジネス上の重要な事など情報交換を頻繁に行っています。
というのも、仮に競合企業となる企業であっても自社の顧客が必要としている装置や商品が競合に存在する場合などは、競合企業から商品を購入して自社の顧客に販売するということも行うケースを多くあるからです。
自社では販売していないからという理由で諦めず、自社の顧客とのビジネスになるのであればそのような対応も積極的に行っていくのが台湾企業だったりします。
まとめ
インターネットの普及によりBtoBのビジネス環境が変わってきたのは事実です。
インターネットによる販売ではアリババなどのサイトを閲覧すれば、一般消費者向けだけでなく製造設備も無数にサイト内で販売されています。
ただし、やはり製造業においては展示会というものは自社製品のPRする良い機会ですし、多くの顧客、そして将来の顧客となる企業と会う事ができるとても重要なイベントです。
勿論、出展には出展費用だけでなく渡航費の他、準備に必要な工数や人員など多額のコスト・経費が係るイベントです。
だからこそ、その成果を少しでも早く、そして確実に得る事に台湾企業は積極的に海外を飛び回っているのです。
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